安心感の生まれる背景
2018.2.28他国に比べて日本では「安心感」が非常に高いプライオリティを持っています。何かを購入するとき、サービスを申し込むときに、私たちは無意識に「安心」という基準で物事を判断しています。例えばスーパーで買いものをするときも、商品の陳列がきれいだとか、ラップで包まれていて清潔だとか、店員の説明が丁寧だとか、自分が安心できるかどうかで買いものかごに入れるかを決めていると思います。腐っているかもしれない…、そういう不安要素がありながら食べものを口に入れる人はいませんよね。
デザイナーズ診察券をご注文される際に、注文理由について簡単なアンケートとらせていただいています。デザイナーズ診察券を選んだ理由のトップはもちろん「デザイン」ですが「安心感」を非常に多くの方が選択されています。私たちが知らず知らずのうちに持っている「安心感」に対する価値観の証明と言えるのではないでしょうか?
よく安心と安全は違うと言われます。「安全」は何かしらの機関が決めた基準をクリアしていることで、それに対し「安心」は個々に持つ印象で実はふわふわとして実態のわかりにくいものです。しかし、人が安心感を得るためには、いくつかの条件がきちんとあって、それらを意識することで利用者に「安心」を訴求することができます。では、安心感の生まれる背景は何なのか?そのヒントを紹介させていただきます。
ブランディングの基本
広告業界と関係ない方でも、最近はよく「ブランディング」という言葉を耳にすると思います。ブランディングは、企業が提供する商品やサービスが利用者にとってどんな価値を持つのか、またそれをどうやってアピールしていくか、というマーケティング戦略です。耳慣れない方には難しく聞こえますが、利用者の信頼を築くための足がかりと考えていいと思います。デザイナーズ診察券を運営しているデザインウルフでは、事業の大小を問わず「ブランディングから考えてほしい」とうご依頼をいただいています。ブランディングを構築するには、いくつかの要素が必要になりますが、既にスタートしている事業の場合、その中心は「整理と整合性」になります。整理とは、以下のようなことです。
- 必要なものを見極める
- 不必要なものを処分する
- 優先順位をつける
なんだか部屋を片付けるみたいな話ですが、実際そういうことなのです。自宅のリビングや書斎と一緒で、忙しく毎日を送っているとよくわからないもので溢れてきます。面倒だけれど、時々は整理しないと。それがまさに「ブランドの再構築」という行為です。整理が一段落したら、次に整合性を考えます。
- 価値に矛盾はないか
- 表現に矛盾はないか
同じブランドで「子供向けに特化してます」「大人向けに特化してます」ということを言っていたら、矛盾していることになりますね。矛盾したことを言っている人は信用されませんよね。事業はブランドも同じです。提供しているサービス、表現されるデザインに整合性がなければ、安心感を得ることはできません。
規模の小さいクリニックの運営とブランディングは、あまり関係がないと思われがちですが、利用者に安心感を持ってもらう必要があるのは間違いありません。自分の健康を預けるとなれば、なおのこと。自身のクリニックについて「整理」と「整合性」に気をつけることは、利用者に安心感を持ってもらう足がかりになります。
何気ない矛盾が安心感の敵
WEBやパンフレット、診察券のデザインにも「整合性」が求められます。例えばクリニックのロゴ。安心感を得るためにはクリニックの価値とロゴのデザインにも、もちろん整合性が求められます。「アットホームで家族感溢れるクリニックですよ」と言っておきながら、クリニックのロゴが男らしい筆文字のロゴだったら大きな矛盾です。店舗の看板とWEBに使われているロゴがまったく違うものだったら、整合性が取れていないばかりか、利用者にとって非常に不親切な結果となります。カラーリングも同じです。WEBでは緑色、診察券は茶色、クリニックの内装はピンク色では、整合性も何もありません。
表と裏がある人は好かれません。いつでもどこでも、同じスタンスで同じことを話せる人には「安心感」を持つことができますよね。
わかりやすさが安心感の源
安心感を得るためには、ある程度「わかりやすい」ことも大切です。人は「何だかわかりにくいなぁ」という印象を持ってしまうと踏み込めないものです。わかりにくいものは、なぜわかりにくいのでしょうか?それは発信側に「わかりやすくしよう」という気持ちがないからです。美味しいものを食べてもらおう。そういう気持ちの料理人がいないお店の料理はまずい。それと同じです。
わかりやすさを持つことは、あまりハードルが高くありません。他では持っていない特別な価値を持つことと比べたら遥かにハードルが低く、誰でもできることです。診療時間をシンプルにしたり、看板やWEBや診察券を同じカラーリングにしたり、そんなに難しいことではありません。大切なのは利用者の気持ちを想像することです。
整理された診察券で安心感アップ
診察券という小さなメディアも、利用者から安心感を得るツールのひとつです。ロゴやカラーリングに矛盾がないこと、クリニックの情報がわかりやすいこと。そういった点を気をつけていれば、不安感を持たれることなくクリニックの安心感を訴求することができます。ごちゃごちゃしたものでなく、シンプルであることも重要です。表面にクリニック名とデザイン要素、裏面には受付時間や休診日の文字情報と、シンプルにまとめることで整理された診察券になります。
クリニックによっては、保険種別を入れたい、初診日記入欄を入れたい、QRコードを入れたい、といったご希望があり、診察券の表裏にどうやって整理したらいいかわからないという方もいると思います。そういう場合には、デザイナーがバランスを考えて整理させていただいています。スペースに入る、入らない、こう整理した方がわかりやすい、といったことも提案していますので「安心」してご利用ください。

WRITER
ながしま 明
いつくかのデザイン事務所勤務を経て、2006年有限会社デザインウルフを設立。多くの企業の商品やサービスについてブランディング、販促活動をデザインにてサポート。ロゴ、WEB、印刷、映像、コピーと職種を超えるマルチクリエイター。
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