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文字の整理とユーザビリティー

2021.7.5

デザイン:文字の整理とユーザビリティー

デザインは「絵柄」というイメージを持ってしまっている人はいますか?もちろんデザインには写真やイラストといったビジュアルも含まれますが、文字情報を適切に整理しまとめることも「デザイン」です。例えば、絵柄の要素のない請求書や納品書といった事務的な書類も、文字の大きさや配置を適切に配置し、無駄がなく心地よいスペーシングを配慮すれば、美しい書類に生まれ変わります。気をつけなくてはいけないのは、絵柄が入っていない文字だけのメディアの場合、文字のレイアウトを適切にしないと意図が伝わらなくなってしまう場合もあります。

同じ情報でもまったく違ったものに?

文字だけのデザイン:例文

例えば、このようなメッセージをクリニックの入口に表示する場合、どのように文字を配置したらいいと思いますか?伝えるべき情報はシンプルで「マスクを着用しないと院内には入れません。感染症拡大防止にご協力ください。」です。コロナ渦において、よく見かけるメッセージだと思います。

このメッセージを表示するにあたり、クリニックのスタッフAは考えました。「文字が小さいと年配の方が見にくいので文字を大きくしよう」と。なるべく文字を大きくしようというのがスタッフAの考えです。それでは文字を大きくしてみましょう。

文字だけのデザイン:文字を大きくした例

確かに文字が大きいので読みやすくなりました。しかし、少し乱暴で威圧的にも感じられます。ルールを守らない人は処罰するぞ!といった印象さえ受けてしまいます。これではクリニックの品位が下がってしまうので、もう少しスペースをとって「余裕」を感じるレイアウトにした方がよさそうです。

文字だけのデザイン:少しスペースをとった例

余白をとることでクリニックの品位を下げないスマートな見え方になりました。しかしこの表示を見て、スタッフBは考えました。「文字が全部同じ大きさで目に留まらない」「大きい文字と小さい文字をつくって強弱をつけた方がいい」と。そこでスタッフBがアレンジを加えました。

文字だけのデザイン:文字に強弱をつけた例01

これなら、クリニックに訪れた利用者が注目してくれそうです。しかし…。確かに注目してもらえそうですが、この表示だと利用者は「このクリニックには入れない」と誤解してしまいますよね。もちろん上から下まで文章のすべてを読めば、誰だって「マスクをつけてください」とクリニックがお願いしていることは理解できます。しかし、一瞬見た限りでは意図がわからない。「このクリニックには入れない」と思ってしまうのは当然です。伝えたいことは「マスクをつけてください」というお願いですから、強弱をつけるならこのようにした方がいいでしょう。

文字だけのデザイン:文字に強弱をつけた例02

まったく同じ情報なのに違う意味になってしまう。極端な例でしたが、このようなことが起こり得るのがデザインです。写真やイラストといったビジュアルだけでなく、文字の書体、サイズ、配置を適切に使って、情報をどう整理していくかは、デザインの大きな役割です。

デザインで優先すべきこと

診察券は受付や予約のオペレーションをサポートするものですが、そこにビジュアルや色を加え、クリニックの持ち味や雰囲気をデザインで伝えることができます。ビジュアルは情緒的情報を含み、直接的な言葉とは違った速度で見る人に印象を定着させます。診察券をデザインを判断する上で、考えべきことは2つのことです。

  • クリニックの持ち味を伝える
  • 利用者のユーザビリティー

この2つの条件を満たすことは必須です。クリニックの持ち味が含まれていないとそれは役不足です。利用者が見て「わかりにくい」というのも不合格です。どちらを優先すべきか、というより、どちらも必要です。この2つを相反するものであると、考えてはダメです。見る利用者が誤解のないよう文字情報を整えることは、利用者のユーザビリティーに繋がります。情報をわかりやすく整理していることは、利用者に対する配慮です。そして、利用者に配慮する行為はクリニックへの信頼性を高め、クリニックのイメージアップに大いに貢献してくれます。「わたしたちを信頼してください」とアピールするよりも、信頼に値する行動をした方がよっぽど効果的です。

文字情報の整理は利用者へのマナー

わかりやすく、要点を明確に伝えることは利用者へのマナーです。それは「できればそうした方がいい」というものではなく「必ずそうした方がいい」という種類のものです。文字情報をどのように整理した方がいいのか、それはデザインを職業にしていないと瞬時に判断することはできません。適切なサイズ、適切な位置、適切なスペーシングなど、デザインの細かな配慮はデザイナーに任せてもらえたらと思います。

ブログライター

WRITER

ながしま 明

いつくかのデザイン事務所勤務を経て、2006年有限会社デザインウルフを設立。多くの企業の商品やサービスについてブランディング、販促活動をデザインにてサポート。ロゴ、WEB、印刷、映像、コピーと職種を超えるマルチクリエイター。