印刷は「同じ」ではない
2019.11.21名刺や封筒、チラシやポスターなど、世の中にはたくさんの印刷物が存在しています。宣伝を目的にしたものに限らず、食品や電気機器などの商品パッケージ、買いものをした時にもらうペーパーバッグ、Tシャツやマグカップに至るまで、とにかく世界は印刷物で溢れかえっています。先進国で暮らしていて、印刷されたものが身近にないという人は恐らくいないでしょう。
印刷は印刷機という機械を使って印字するものなので、何となく「いつ、どこに注文しても同じものが手に入る」ような錯覚を持ってしまいがちですが、実はそうではありません。例えば、同じメーカーの清涼飲料水ならどの店で買っても同じ味を期待することはできます。しかし、印刷の場合「どこで注文しても同じもの」というわけにはいかないのです。もちろんそれは、診察券の場合でも同じです。
印刷仕様の違い
例えば、同じプラスチック製の診察券でも、提供する各社によって仕様がことなります。ベースとなるプラスチック素材と印刷方法は微妙に異なり、仕上がりの違いは実際に手にとって確かめないとわかりません。同じプラスチック製のものでも、素材と印刷方法のコストのかかり方で、品質の高いものから低いものまで誰でも違いがわかるよな「違い」があります。
紙製の診察券の場合、さらに仕様の幅が広くなり「A社の診察券とB社の診察券は、まったく違う印刷物に見える」ということも当たり前になります。紙製の場合、選べる印刷紙の銘柄がとてもたくさんあり、どの紙に印刷するかによって印刷物の見え方が大きく違ってきます。同じ厚さの紙だったとしても、銘柄が違うことで厚く思えたり薄く思えたりと、手の感触まで変わってきます。また、同じ「マットコート」という紙だとしても、標準的な白のもの、少し青白いもの、柔らかいもの、といった具合に一定ではありません。
また、印刷された紙に表面加工をするかしないかによっても、かなり見え方が変わってきます。デザイナーズ診察券では220kgという厚手の印刷紙にマットPPという表面加工を行っています。PP加工を施すことによって紙の耐久性がアップするのは言うまでもありません。PP加工にはグロス(光沢)とマット(非光沢)の2タイプがありますが、反射のあるグロスではなくマットをを選んでいるのは「上品」に見えるという理由です。たとえ紙製であっても「上質な診察券」にしたいという思いからそのような仕様にしています。
プラスチックでもペットでもペーパーでも、仕様の選定によってかなり診察券の品質は異なります。その差は、素人でもハッキリとわかる程度からプロでないとわからない微妙な違いまで様々ですが、仕様が異なる以上「どこの診察券でも同じ」ということはあり得ないのです。
印刷機の違い
印刷は印刷機で行うものなので、当然ながら印刷機の違いによって印刷物の品質は違ってきます。機械の新旧だけでなく、機械のもつ性能によって印刷精度に差が生まれます。また、同じ会社に注文した場合でも、今年はA機、来年はB機、といった具合に印刷機が変わってしまえば、印刷の仕上がりに多少の差があってもおかしくありません。
近年、印刷業界は各社ともに価格競争を展開し、少し前と比較しても驚くほど低価格な料金で印刷サービスを展開しています。その一方で、紙やインクのコスト、そして従業員の人件費は下がることはありません。料金は安く、コストは高く…。そのギャップを埋めるためには、設備投資を制限し品質を落とすしか方法はありません。最近よく広告などで目にする「激安」の印刷では、印刷する工場を注文によって振り分けることでリスクを分散化していますが、つまりそれは「印刷する機械が毎回違う」ということになります。もちろんその品質は、一定ではありません。
品質と料金はイコールではない
設定している印刷仕様、印刷する印刷機。それらは印刷の仕上がりを決定する上で重要な要素ですが、さらに決定的なのは「料金設定」の違いです。サービスを提供する会社のスタンスと言ってもいいでしょう。当たり前の話ですが、提供する印刷物は印刷を行うための「実コスト」と人件費や会社の存続を支えるための「利益」で料金が構成されています。その割合は会社によって異なります。利益を追求していこうと考えるなら、とにかく低コストで印刷を行って診察券を提供することになるし、同じ料金の診察券でも実コストが違うなら品質にも差が生まれるのは仕方のないことです。
実コストに対する利益の割合を規定する法律はありません。提供するサービスに対しどのくらいの利益を求めるのか、それは会社毎の方針によって違ってきます。そういったことを踏まえると、高いからいい診察券、安いから悪い診察券、とは一概に言えないことがわかりますね。
サンプルで印刷品質を確認する
印刷について、品質と料金が適正であるかどうかを判断することは、経験豊富なプロでない限り正直難しいと言えるでしょう。しかし、どの会社でもWEBで料金表が公開され、ほとんどの場合サンプルの無料配布を行っていると思うので、まずは実際の印刷仕上がりを手にとって確かめるのをお薦めします。何事も「百聞は一見にしかず」です。印刷が「同じ」ではない以上、各社で提供する診察券も違いがあると思うので、料金だけで判断せず、印刷サンプルと料金を照らし合わせてから、診察券を注文するのが賢い注文方法です。
デザイナーズ診察券では「品質の高いアイテムを低価格で。」というコンセプトを守り、診察券の品質を下げることをよしとしないため、今後も「激安・格安」を追い求めることはありません。お陰さまで多くのクリニックさまから数年に渡るリピート注文をいただいていますので、その期待を裏切らない「がっかりしない診察券」を維持していきたいと考えています。

WRITER
ながしま 明
いつくかのデザイン事務所勤務を経て、2006年有限会社デザインウルフを設立。多くの企業の商品やサービスについてブランディング、販促活動をデザインにてサポート。ロゴ、WEB、印刷、映像、コピーと職種を超えるマルチクリエイター。
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