デザインの起源は何なのか?
2016.9.16建築、ファッション、プロダクトなど様々な「デザイン」が渦巻く現代社会。その中で圧倒的な量で生活に溶け込んでいるグラフィックデザイン。グラフィックというとコンピューターで処理されたものを想像する人もいるかもしれませんが、グラフィックデザインはパソコンのない時代からも人類に根付いていました。
グラフィックデザインの定義
グラフィックデザインのことをシンプルに表現すると「平面上のデザイン」です。立体ではない2次元のデザインを広くグラフィックデザインと呼んでいます。代表的なものとしては、ロゴやポスターといった紙に印刷されるデザインがありますが、WEBや映像といった画面の中で表現されるデザインもグラフィックデザインとして認められるようになり、その範囲が日増しに広がっています。
プロダクトデザイン(製品・商品)が産業革命による大量生産と共に発展したように、グラフィックデザインも印刷技術という同じものを大量に複製する技術によって発展し、名称を確立しました。それまで原本を手書きで書き写すことで複製していた書籍が、印刷機械によって大量に、そして正確に複製することができるようになり、文字や図版を上手に組み合わせて原版をつくるための技術者が必要になりました。その技術者が現代でいう「グラフィックデザイナー」です。
グラフィックデザインの確立は、人類の長い歴史の中では割りと「最近」の出来事です。それは現在のデザインがビジネスと密接な関係にあることとリンクしています。例えば、新しい製品を開発して販売したい場合、製品のカタログ、製品の説明書、製品の広告といったものをつくって多くの人に製品のことを知ってもらう必要があります。そこでグラフィックデザインの登場です。製品が魅力的に見える演出を考えたり、製品の写真とキャッチコピーをレイアウトしたりして、製品をユーザーに伝えるためのデザインを制作します。このような行為は、ビジネスが「広く多くの人に」向かっていることに基づいています。1人でも多くに人に伝えるためには、膨大な量の紙に情報を載せる「印刷」や画面に表示して拡散する手段が用いられます。そこに必要な技術がデザインだったのです。
デザインというと、何か凝った表現のものを連想しがちですが、そうではありません。前のブログ、デザインと診察券でも少し触れましたが、平面の紙に文字情報だけが印刷されたもの、これも立派なデザインです。デザインはビジネスの目的に沿い、多くの人に同じ情報を届けるという使命を担っています。白い紙に文字だけ。白い紙に写真だけ。白い紙にマークだけ。凝った造形、凝ったレイアウトがないものでも、情報を載せた平面であればすべてグラフィックデザインなのです。
メディアの多様化によってグラフィックデザインの境界線が曖昧になってきた現代ですが、今も昔も同じ役割を持っています。それは「同じ情報を伝える」という1点です。例えば3人同時に「A」という情報を伝える必要があるときにグラフィックデザインが必要になります。「A」という情報を伝えるためには、誰でも「A」と認識できるような一般的な書体を選んで見やすく表示する必要があります。そこがデザインとアートの大きな違いになってきます。伝わる情報が共通して「A」であるために、グラフィックデザインは機能しています。
デザインの起源「矢印」説
現代のグラフィックデザインには、拡大を目指す現代のビジネスの有り様が大きく影響しています。しかし、グラフィックデザインを「平面上のデザイン」とシンプルに捉えた場合には、数百年前、紀元前、あるいは原始の時代にもグラフィックデザインは機能していたと考えられます。
例えば、日本の家紋。そしてヨーロッパの紋章。これら今で言うロゴマークですね。身につけているだけで家系や所属を他者に伝えることのできる、まさにグラフィックデザインです。また、スコットランドのタータンチェックも家系を証明するアイテムです。今やファッションとして活躍するチェック柄ですが、その昔は家系を表現し伝えるグラフィックデザインとしての役割が中心だったと思われます。
いや、もっともっと昔からデザインはあったはずです。例えば文字すらなかった時代にも。農耕以前、人が狩りをして暮らしをしていた頃、家族や仲間といった小さな共同体があったと思います。これは完全に憶測の話ですが、その小さなコミュニティの中で、矢印に似たような道順などを指し示す記号を使っていたのではないかと思うのです。壁に石を使って刻んだり、棒きれで記号をつくったり。自分以外の誰かに共通の情報を届ける、そういった行為はまさにグラフィックデザインです。
グラフィックデザインは自分以外の誰かに「同じ情報を伝える」という役割を持っています。古代の人類が自分の子や仲間に場所や方向を指し示す「矢印」を描いたとすれば、それがデザインの起源なのではないでしょうか。

WRITER
ながしま 明
いつくかのデザイン事務所勤務を経て、2006年有限会社デザインウルフを設立。多くの企業の商品やサービスについてブランディング、販促活動をデザインにてサポート。ロゴ、WEB、印刷、映像、コピーと職種を超えるマルチクリエイター。
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